葬祭等に関する意識を調査するため、平成30年3月に全国に居住する44歳以上の男女3,000人に対してアンケートを実施いたしました。その要旨は以下の通りです。文中の図は添付のPDFファイルにてご確認ください。
1.「自身の葬儀」では「直葬でよい」と考えている人が22%いるが、「家族の葬儀」となると、10.7%と大きく低下する。また、「家族の葬儀」の場合は、「友人やお世話になった人も参列できる一般的な葬儀」を選択する人が34%と、「自身の葬儀」に比べて高い比率を示しており、「自身の葬儀」と「家族の葬儀」では、明らかな意識の違いがあるように推察される。(図1)
2.「家族の葬儀」の場合に、「直葬でよい」と思わない(89%)理由は、「きちんとした形で送ってあげたい」が72%と圧倒的に多い。一方で、「自身の葬儀」を「直葬でよい」と考える理由は、「家族に負担を掛けたくない」が62%と最も多く、「儀式をやる意味を感じない」が55%と続く。(図2,3)
3.これに対して、「友人の葬儀」に対する意識をみると、「一般的な葬儀をやってもらい、自分も参列したい」と回答した割合は60%で、更に「参列できなかった場合でも、葬儀後に弔問してお別れしたい」と回答した割合は71%と高い結果を示している。(図4)
4.自身、家族、友人、それぞれの葬儀に対する意識を調査してみると大きな差があった。自身の葬儀に対しては家族や友人の負担を考え簡素で控え目だが、友人の場合には「きちんと見送りたい」と考える人の割合が高い。自身、家族の場合は、共に関係する人たちに余計な負担をかけたくないという遠慮する心が根底にあるが、「友人の葬儀」の場合には、施主側ではないため関係する人たちへの遠慮は無く、むしろ本音に近いものが反映されている可能性が高いのではないかと思われる。
5.「喪主として葬儀を経験している場合」、「周りに相談できる人がいる場合」、「お墓に入る意向のある場合(お墓の所有の有無に関らず)」は、そうでない場合と比べて、「家族の葬儀」を「友人やお世話になった人も参列できる一般的な葬儀」にしてあげたいと思う割合が高い。(図5)
6.過去に喪主を務めている場合はトレンドとは関係なく、その時の経験が判断する拠り所になっているように推察される。
7.「周りに相談できる人がいる場合」、「お墓に入る意向のある場合(お墓の所有の有無に関らず)」は、周りの人とのつながりやそれに対する考え方そのものであり、それが葬儀に対する考え方に違いを生じさせる大きな要因となっている可能性がある。
8.周りに気を遣ったり慮ったりし過ぎることが、かえって地域社会や親族とのつながりを希薄なものにして、無縁社会化の進行を助長している様にも推察される。「儀式」には、社会における個人の存在を尊重し、人とのつながりを円滑なものにするという意味もあり、簡単に言うと「つながりを継承していく場」とも解釈できる。儀式文化を人とのつながりや縁を大切にするものと捉えれば、それを継承していくことは、無縁社会の進行を少しでも抑止するだけでなく、お互いに助け合っていけるような社会を作っていく上でも大切なことではないかと考える。